平成16年度予算案の概要
第1 国の予算案等
1.最近の経済情勢
最近のわが国経済は、企業収益が改善し、設備投資が増加するなど、景気は着実に回復しております。雇用情勢は依然厳しいものの求人が増加するなど持ち直しの動きがあり、物価にも下げ止まりの兆しがあります。
2.国の予算編成
- 国の平成16年度当初予算は、引き続き歳出改革路線を堅持し、真に必要な施策への絞り込みと、活力ある社会・経済の実現に向けた施策への予算の重点的な配分を行ったとされております。
- 予算の内容としては、税収が伸びないため、過去最高額の赤字国債30兆円余りを発行するとともに、公共事業費を前年度比マイナス3.5%に抑制するなどして、一般会計総額で前年度比0.4%増、一般歳出で前年度比0.1%増と、増加幅を最小限に抑えた緊縮型予算となっております。
- この予算編成の中で、「三位一体の改革」により、地方に対する国庫補助金が1兆円削減され、その一部のみが地方に移譲されるとともに、地方交付税が大幅に削減されることが決まっております。
第2 本市の予算案
1.本市の予算編成の基本的な考え方
- 本市の平成16年度予算編成にあたりましては、長引く景気低迷による影響等から、市税収入や競輪事業収益などの一般財源の伸びが期待できない非常に厳しい財政状況にありましたが、三位一体の改革のため、より一層厳しいものとなっております。
具体的には、国庫補助負担金で約10億円削減されますが、5億円程度しか税源移譲されません。さらに、臨時財政対策債を含めた実質的地方交付税は、平成15年度実績に比べ、約28億円の減収が見込まれるところであります。 - さて、近年、特別会計や企業会計への繰出金が急増してきたことや、各種福祉施策の対象者増に伴う扶助費の伸びが大きいこと、市債残高の増加に伴う公債費の負担増などから、現状のまま市政を運営することは、財政危機をもたらす恐れがあるとの考えから、昨年7月に、「富山市財政危機回避緊急プログラム」を策定し、健全財政を維持していくための具体的な取組みを示したところであります。
- また、「枠配分方式」を導入し、担当部局長が中心となって、従来からの経緯にとらわれることなく各事務事業の見直しを図り、優先順位の高い事業を予算化するとともに、自主財源の確保に努めました。
- 一方、「人口増加に寄与する施策」など6分野11項目の重点テーマの新規事業や、
- 北陸新幹線整備事業、
- 富山駅周辺地区南北一体的なまちづくり事業、
- 市街地再開発事業、
- 校舎及び屋内運動場の増改築・大規模改造事業、
といった指定する大型事業は、本市が今後、日本海側有数の中核都市として発展していくために極めて重要な事業であるため、枠配分予算とは別枠で、留保枠予算として事業の所要額を要求できるものとしました。
- これらの予算編成における新たな取組みを実施することにより、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努め、国の予算や地方財政計画を勘案しつつ、メリハリのある予算となるよう編成したところであります。
2.平成16年度予算の重点テーマ
平成16年度予算は、本市の喫緊の課題である次の6分野11項目を重点テーマと定め、編成したところであります。
- 人口増加に寄与する施策
- 子育て世代の定住人口増加に資する事業
- 交流人口増加に資する事業
- 創業支援と雇用の創出など地域経済の活性化に寄与する施策
- 創業支援、企業誘致など雇用創出に資する事業
- 交流人口増加に資する事業(再掲)
- 中心市街地の活性化と駅周辺南北一体的なまちづくりに寄与する施策
- 中心市街地の活性化に資する事業
- 駅周辺南北一体的なまちづくりに資する事業
- 地域公共交通活性化に資する事業
- 美しいとやまの創造と保全に寄与する施策(ソフト事業)
- 市民意識の啓発に資する事業
- 市民と行政の協働による景観づくり事業
- 地域社会で支える高齢者・障がい者の福祉施策(ソフト事業)
- 高齢者福祉に資する事業
- 障がい者福祉に資する事業
- 市町村合併の推進施策
- 市町村合併に向けたシステム統合及び地域公共ネットワーク基盤整備事業
3.平成16年度予算案の特徴
- 予算規模について
- 減税補てん債などの過去に発行した市債の借換えが、前年度と比較して大幅(53億余円)に増加するとともに、NTT債の償還(4億余円)が始まること、
- 市町村合併に伴うシステム統合のための経費(20億余円)を当初予算に計上したこと、
などから、一般会計の予算総額は前年度比7.4%の増となっておりますが、これらの特殊要因を除いた実質的な伸びは、0.7%の微増となっております。
- 歳入について
歳入においては、市税収入などの一般財源の伸びが期待できず、さらに地方交付税や国庫補助金が削減される厳しい状況の中、特に次の点が特徴となっております。- 使用料・手数料等の自主財源の確保
市税や地方交付税等の一般財源の伸びが期待できない中、使用料・手数料を徴収しているような特定個別的便益がある行政サービスには、適正な受益者負担を求め、税負担を増やすことなく、全体として市民負担の増加を回避しなければなりません。
このため、下水道使用料や農業集落排水使用料、し尿収集手数料の見直し、さらには、市民大学講座の受講料導入などを実施し、自主財源の確保に取り組んだところであります。 - 特定目的基金の取崩し
合併前年度の当初予算においては、財政調整基金・減債基金を取り崩さないとの考えのもと、予算編成の最終段階においてもなお不足する財源を確保するため、舞台芸術振興事業基金を1億5千万円取り崩し、事業実施のための財源としました。
- 使用料・手数料等の自主財源の確保
- 歳出について
歳出予算においては、全ての事業について聖域を設けることなく見直しを行い、実施する施策の選択、事業を実施する年度の先送りなどを含めた検討を行ったところでありますが、特に次の点が特徴となっております。- 富山港線路面電車化事業の推進と再開発事業の本格化
平成18年度当初の路面電車開業に向けた富山港線路面電車化事業に係る経費を計上するとともに、総曲輪通り南地区、西町・総曲輪地区、堤町通り一丁目地区の各再開発事業が本格化し、これらの事業に対する補助金が大幅に伸びております。 - 小学校・中学校の施設整備費の増加
小学校・中学校の施設整備費については、平成15年度は、事業費の大部分を国の経済対策に呼応した平成14年度3月補正に計上していたこともあり、平成16年度予算における小学校・中学校の施設整備費は、対前年度当初予算比で大きく伸びております。 - 新規福祉施策等の充実と福祉給付事業等の見直し
ケアハウスや特別養護老人ホームなどの施設整備を進めるほか、パワーリハビリテーション事業の拡充や身体障がい者グループホームの施設整備・運営に対して新規に市単独で助成を行うなど、福祉施策を充実してまいります。
一方、急速に増加する高齢者・障がい者に対する持続可能な福祉社会を築いていくためには、福祉施策のあり方を常に見直し、真に必要な人に、必要なサービスを、的確な費用で、選択的に提供される環境を作り上げ、新たな福祉ニーズに対応していかなければなりません。
このため、福祉給付事業等検討委員会での検討結果を踏まえ、ひとり親家庭等小学校・中学校入学祝金等を廃止するとともに、所得制限の導入や補助限度額の見直し等を実施したところであります。 - 市単独普通建設事業の実施年度の延伸
市単独の市道整備事業や河川水路整備事業、公園整備事業、下水道整備事業等の普通建設事業につきましては、これまでも計画的な実施に取り組んできておりますが、歳入に見合った予算とするため、これらの事業実施年度を延伸し、平成16年度の事業規模を縮小しているところであります。 - 人事院勧告以外の市独自の人件費見直し
全ての事業について聖域を設けることなく見直しを行った結果、市民の皆さんに痛みを伴う制度改正も行わざるを得なかったところであり、市民の皆さんにそのことを理解していただくためには、市職員自らもその痛みを共有することが必要であります。
このため、管理職員については、期末手当を年0.2月分減額、管理職手当(主幹を除く)の支給額を5%減額することとしております。
一般職員の人件費見直しについては、現在も職員組合と協議を継続しているところであります。
- 富山港線路面電車化事業の推進と再開発事業の本格化
- 平成16年度予算案は、財源の確保が近年になく厳しい財政環境の中にあって、各部局長のリーダーシップのもと、全職員でアイデアを出し合い、創意と工夫を凝らし、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めたメリハリのある予算として編成したものであります。
第3.予算案の概要
1.会計別予算規模
- 一般会計
124,803,162千円
(対前年度当初予算比+7.4%)
既発債借換分とNTT債償還分、及び合併に伴うシステム関係費を除いた場合
114,147,038千円
(15年度当初予算から借換分を除いたものと比較した場合、対前年度当初予算比+0.7%) - 特別会計(11会計)
98,964,881千円
(対前年度当初予算比-2.2%) - 企業会計(4会計)
39,808,690千円
(対前年度当初予算比-3.9%) - 全会計合計
263,576,733千円
(対前年度当初予算比+1.9%)
既発債借換分とNTT債償還分、及び合併に伴うシステム関係費を除いた場合 252,769,509千円
(平成15年度当初予算から借換分を除いたものと比較した場合、対前年度当初予算比-1.2%)
2.一般会計の予算規模
(1)総額では7.4%増となるが、既発債借換分とNTT債償還分、及び合併に伴うシステム関係費を除くと、0.7%の微増
- 予算総額
124,803,162千円
【対前年度当初予算比+7.4%】
平成15年度当初予算 116,169,692千円 - 既発債借換分(8,173,300千円)とNTT債償還分(431,114千円)を除いた場合
116,198,748千円
【対前年度当初予算比+2.5%(平成15年度当初予算から借換分(2,807,200千円)を除いたものとの比較)】 - 既発債借換分とNTT債償還分、及び合併に伴うシステム関係費(2,051,710千円)を除いた場合
114,147,038千円
【対前年度当初予算比+0.7%(平成15年度当初予算から借換分(2,807,200千円)を除いたものとの比較)】
《参考》
- 平成16年度地方財政計画-1.8%
- 平成16年度の国の予算 +0.4%
(2)前年度の15ヶ月予算(平成15年度当初予算+平成14年度3月補正中の経済対策分)との比較
- 予算総額による比較
【対前年度15ヶ月予算比+3.9%】
前年度15ヶ月予算 120,113,821千円 - 既発債借換分とNTT債償還分を除いた場合
【対前年度15ヶ月予算比-0.9%(15ヶ月予算から借換分を除いたものとの比較)】 - 既発債借換分とNTT債償還分、及び合併に伴うシステム関係費を除いた場合
【対前年度15ヶ月予算比-2.7%(15ヶ月予算から借換分を除いたものとの比較)】
3.一般会計の歳入予算
(1)市税等
- 市税 平成15年度に続き3年連続マイナス52,849,220千円
【対前年度当初予算比-0.6%】
平成15年度当初予算53,176,630千円
《参考》平成16年度地方財政計画-0.6% - 市税、地方譲与税、交付金の合計額59,334,220千円
【対前年度当初予算比+1.1%】
平成15年度当初予算58,708,630千円
《参考》平成16年度地方財政計画+2.6%
(2)起債
1.市債発行額は借換債の影響で大幅に増加
- 発行総額 18,166,600千円
【対前年度当初予算比+27.4%】
平成15年度当初予算14,263,100千円 - 借換債を除いた場合 9,993,300千円
【対前年度当初予算比-12.8%】
平成15年度当初予算11,455,900千円 - 借換債及び臨時財政対策債を除いた場合 6,093,300千円
【対前年度当初予算比+2.3%】
平成15年度当初予算5,955,900千円
2.起債依存度は借換債の影響で増加
- 起債依存度(起債総額による計算)14.6%(平成15年度当初12.3%)
- 借換債を除いた場合 8.6%(平成15年度当初10.1%)
- 借換債及び臨時財政対策債を除いた場合 5.2%(平成15年度当初 5.3%)
《参考》
- 平成16年度地方財政計画16.7%
(臨時財政対策債を除いた場合11.8%) - 平成16年度の国の予算44.6%
(3)財源の確保 使用料・手数料等の見直しと特定目的基金の取崩し
- 使用料・手数料等の見直し
一般会計では、し尿収集手数料、一般廃棄物の最終処分場への搬入手数料等を見直した他、新たに市民大学講座の受講料等を導入した。- 見直しによる歳入の増加額176,752千円
企業会計、特別会計では、下水道使用料、農業集落排水使用料等の見直しを行っており、この見直しの結果、一般会計では各会計への繰出金が減っている。 - 見直しによる歳入の増加額1,428,749千円
全会計合計 - 見直しによる歳入の増加額1,605,501千円
- 見直しによる歳入の増加額176,752千円
- 基金の取崩し
- 舞台芸術振興事業基金の取崩し 150,000千円(平成15年度当初 0千円)
- 財政調整基金の取崩し 0千円(平成15年度当初1,000,000千円)
- 減債基金の取崩し 0千円(平成15年度当初1,600,000千円)
4.一般会計の歳出予算
- 目的別では、小学校・中学校の施設整備費を含む教育費、中小企業支援のための経費等である商工費、合併に伴うシステム関係費を含む総務費、及び借換債の影響がある公債費が、対前年度当初予算比で増となっている。
- 教育費12,962,178千円 対平成15年度当初予算比 +16.8%
- 商工費12,575,398千円 対平成15年度当初予算比 +9.7%
- 総務費13,921,572千円 対平成15年度当初予算比 +6.5%
- 公債費22,040,261千円 対平成15年度当初予算比 +34.6%
(借換債、NTT債を除くと13,435,847千円対平成15年度当初予算比-1.0%)
- 目的別の構成比では、高齢者福祉や児童福祉等のための民生費が、引き続き一番大きな割合を占めている。
民生費の構成比22.0%[平成15年度の構成比23.6%] - 性質別では、市単独の市道整備事業等の普通建設事業を延伸したことなどにより、普通建設事業費の単独事業費が対前年度当初予算比で減となっているものの、再開発事業が本格化すること等から、普通建設事業費の補助事業費が大幅な増となり、投資的経費全体で大きく伸びている。
また、中小企業者の資金需要に応えるため、融資枠の拡大等を行ったことから、貸付金も大きく伸びている。- 投資的経費 17,046,877千円 対平成15年度当初予算比+14.7%
- 貸付金 10,341,018千円 対平成15年度当初予算比+17.2%
ご意見をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
財務部 財政課
〒930-8510 富山市新桜町7番38号
電話番号:076-443-2022
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。