1. 普通会計のバランスシート(平成13年度)
1.作成の目的
現行の会計方式が、予算・決算について、一会計年度の資金の流れ(フロー)を中心としているため、資産や負債などのストックに関する情報がわかりにくくなっていますが、企業会計手法を用いたバランスシートを作成することにより、本市の資産の状況や、その資産形成の財源である負債、正味資産の状況等を把握することができます。
バランスシートの作成により、税金の投入等で整備された資産構成の把握、また、将来返済しなければならない負債と返済を要しない正味資産との比率等のストックに関する把握、さらには、地方公共団体間あるいは時系列での比較が可能となります。
企業との違い
- 住民福祉の増進を目的とするため、利益の概念を持たない。
(企業は利益の追求が目的) - 税金を活動資源とするため、財務活動は議会のチェックの下で行われる。
(企業は利益追求のための弾力的な財務活動が可能) - 地方公共団体では財政が悪化した場合、財政再建の手続きに移行するため、清算は予定されていない。
(企業は清算がありうる)
2.作成の基準
国の「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」(座長 今井勝人武蔵野大学経済学部教授)が示したバランスシートの作成手法(作成マニュアル)に基づき、下記の基本的考え方により作成しました。
- 対象
会計普通会計(普通会計とは、公営事業会計以外の会計を総合して一つの会計としてまとめたもの。本市においては一般会計(訪問看護等介護サービス事業を除く)、下水道事業会計の一部、賃貸住宅・店舗事業特別会計、公共用地先行取得事業特別会計、母子寡婦福祉資金貸付事業特別会計) - 作成の基準日
平成13年度末(平成14年3月31日) - 基礎数値
国の基準に基づいた各年度の決算額 - 資産評価の方法
道路、学校、庁舎等の固定資産について、取得価格を基に耐用年数ごとに定額法により減価償却を実施
《主な資産の減価償却期間》
道路15年、河川50年、農業農村基盤20年、学校50年など。
土地については、取得価格で計上。
- 有形固定資産の表示は総務費、民生費等の行政目的別に区分して表示する。
- 本市が支出した補助金や負担金等により他団体に有形固定資産が形成された場合はバランスシートには計上しない。
3.平成13年度末バランスシートの概要
資産総額及び負債総額については、学校や保育所の建設、あるいは道路・公園の整備など、長年にわたり、市民福祉の向上のため、健全な財政運営を基本としながら着実に資産を形成してきた結果として計上されたものです。
- 資産総額(4,155億円)に対する正味資産(2,556億円)の割合は、61.5%となっています。
- 負債総額(1,600億円)の内訳は
- 市債1,309億円に翌年度の市債償還予定額90億円を加えた市債残高が1,399億円。なお、市債残高1,399億円のうち交付税措置額は約4割の591億円であり、実質的な市債残高は808億円となっています。この実質的市債残高808億円を人口で割った市民一人あたりの実質的市債残高は約25万円となっています。
- 職員が全員退職した場合の退職給与引当金が201億円となっています。
- 正味資産(2,556億円)の内訳は
- 国庫支出金が、585億円
- 県支出金が、162億円
- 一般財源が、1,809億円となっています。
- バランスシートを市民一人あたりで見ると,次のようになります。
- 資産総額 129万4千円
- 負債総額 49万8千円
- 正味資産 79万6千円
- (中核市の市民一人あたりの平均)
資産総額 135万円- 負債総額 48万円
- 正味資産 87万円
- 資産総額 129万4千円
- 平成12年度末のバランスシートに対する主な増減
- 資産総額4,155億円前年度に対し56億円の増となっています。
(主な内訳)- ア.光陽小学校や蜷川保育所をはじめ,公園、住宅、学校施設等の整備を推進したことによる有形固定資産の増が66億円
- イ.各種団体への出資金の増が22億円
- ウ.形式収支や収入未済額の減等により流動資産の減が31億円
- 負債総額1,600億円前年度に対し6億円の減となっています。
(主な内訳)- ア.繰上償還等による市債の減が6億円
- イ.退職給与引当金の減が3億円
- ウ.総合体育館(平成10年度債)等の元金償還の開始により市債翌年度償還予定額の増が3億円
- 正味資産総額2,556億円前年度に対し63億円の増となっています。
(主な内訳)- ア.有形固定資産を形成する際の財源となった国・県支出金の増が14億円
- イ.一般財源等の増が48億円
- 資産総額4,155億円前年度に対し56億円の増となっています。
4.バランスシートを活用した財務分析
(1)社会資本形成の世代間負担比率
社会資本整備の結果を示す有形固定資産のうち、正味資産による整備の割合、負債による整備の割合をみることで、これまでの世代によって既に負担された割合と、将来の世代による負担の割合がわかります。
これまでの世代による社会資本の負担比率
- 平成10年度 67.0%
- 平成11年度 66.1%
- 平成12年度 67.2%
- 平成13年度 67.5%
将来世代による社会資本の負担比率
- 平成10年度 45.2%
- 平成11年度 45.2%
- 平成12年度 43.3%
- 平成13年度 42.3%
(参考)
- 平成10年度 39.4%
- 平成11年度 39.3%
- 平成12年度 37.8%
- 平成13年度 37.0%
(2)予算額対資産比率
歳入総額に対する資産合計の比率を求めることにより、ストックである資産の形成に何年分の歳入が充当されたかをみることができます。この比率については、年数が多いほど社会資本が充実していると考えられます。
- 平成10年度 2.66年
- 平成11年度 3.09年
- 平成12年度 3.38年
- 平成13年度 3.42年
(3)正味資産比率
企業会計の財務分析における自己資本比率に相当するもので、この比率が高いほど財政状態が健全であるといえます。ただし、企業会計上の自己資本は「社外からの資本及び獲得した利益の内部留保の額」であるのに対し、地方公共団体のバランスシートの正味資産は、「これまでの世代の社会資本形成の負担額」であり、それぞれの指標が表わす意味合いは異なっています。
- 平成10年度 59.7%
- 平成11年度 59.4%
- 平成12年度 60.8%
- 平成13年度 61.5%
ご意見をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
財務部 財政課
〒930-8510 富山市新桜町7番38号
電話番号:076-443-2022
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。