2. 全体のバランスシート(試行)平成13年度
1.作成の目的
地方公共団体は、普通会計の他に上下水道事業、国民健康保険事業など市民の生活に密着した様々な事業を行っていますが、こうした事業については、別々に決算を行ったり、異なった会計処理を行っているため、地方公共団体全体の財政状況を一覧性のある形で把握するのが難しい状況であります。
このため、バランスシート作成の対象を全会計とし、富山市全体の資産、負債等のストックの状況を一覧性のある形で表わし、さらに、富山市全体の資金の源泉とその使途を示すため、今回初めて、富山市全体のバランスシートを作成しました。
企業との違い
企業会計方式の連結バランスシートの場合、同一の会計基準でつくられたバランスシートを合算したうえで、二重計上を相殺消去しますが、この方法で地方公共団体のバランスシートを作成すると、全会計を合算するため経営状況の悪い会計が埋没してしまうおそれがあること、バランスシートを作成していない会計がある中で、同一の会計基準で全会計を合算することは大変困難な作業となります。
そこで、国の「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」で報告された作成方法に基づき、全会計を一覧できる並記方式を基本とし、単純な合計と会計間の取引(内部取引)を相殺消去する純計を示した富山市全体のバランスシートを作成しました。
2.作成の基準
- 対象会計
- 普通会計
- 公営企業会計(法適)
水道事業会計、工業水道事業会計、公共下水道事業会計、病院事業会計 - 公営企業会計(法非適)
中央卸売市場事業会計、農業集落排水事業会計、駐車場事業会計、工業団地造成事業会計、介護サービス事業会計 - その他の会計
国民健康保険事業会計、競輪事業会計、交通災害共済事業会計、老人保健医療事業会計、介護保険事業会計
- 作成の基準日
平成13年度末(平成14年3月31日) - 基礎数値
国の基準に基づいた各年度の決算額 - 会計間の調整
市内部の単なる資金の移動にすぎない会計間の貸付金・借入金、投資及び出資金・繰入資本金を相殺して純計を示しています。- 普通会計から公営企業会計への貸付金(公営企業会計では借入金)
- 普通会計からの出資金のうち、公営企業会計で繰入資本金(正味財産)となっているもの。
3.平成13年度末全体のバランスシートの概要
区分 | 普通会計A (億円) |
全体(調整後)B (億円) |
倍率(B/A) |
---|---|---|---|
有形固定資産 |
3,778 |
6,955 |
1.84 |
投資等 |
222 |
168 |
0.76 |
流動資産 |
155 |
329 |
2.12 |
資産合計 |
4,155 |
7,452 |
1.79 |
固定負債 |
1,509 |
3,460 |
2.29 |
流動負債 |
90 |
221 |
2.46 |
負債合計 |
1,599 |
3,681 |
2.30 |
負債のうち市債 |
1,399 |
3,356 |
2.40 |
正味資産 |
2,556 |
3,771 |
1.48 |
負債・正味資産合計 |
4,155 |
7,452 |
1.79 |
(1)資産
1.有形固定資産
有形固定資産は、全体で6,955億円、普通会計の1.84倍となっています。
普通会計以外で主なものは、公共下水道事業会計2,240億円(全体の32.2%)、水道事業会計549億円(7.9%)等となっています。逆に、国民健康保険事業、老人保健医療事業会計等については、資産形成につながらないサービスを給付する会計であることから、ゼロとなっています。
2.投資等
投資等は全体で168億円、普通会計の0.76倍となっています。
これは、普通会計から病院事業会計への出資金や貸付金などを相殺消去しているためです。
3.流動資産
流動資産は、全体で329億円、普通会計の2.12倍となっています。
これは、水道事業会計などの法適企業会計で、現金・預金について、82億円を有していることと、35億円の未収金があることによります。
(2)負債
市債(固定負債の市債+流動負債の翌年度償還予定額)
市債残高は、全体で3,356億円、普通会計の2.40倍となっています。
普通会計以外で主なものは、公共下水道事業会計1,437億円(全体の42.8%)、水道事業会計262億円(7.8%)等となっています。有形固定資産の増加率(1.84倍)よりも市債残高増加率(2.40倍)が高いのは、公共下水道事業会計、水道事業会計、農業集落排水事業会計などの会計は、受益者負担を原則とし、後年度の使用料収入を見込んで資金調達していることと、資金の償還年限が普通会計より一般的に長いためです。
(3)正味資産
正味資産は全体で、3,771億円で、普通会計の1.48倍となっています。
資産合計の増加率(1.79倍)よりも低いのは、先ほどの公共下水道事業会計、水道事業会計、農業集落排水事業会計などの会計について、有形固定資産の整備における財源として市債の割合が高いためであると考えられます。
(4)全体のバランスシートを市民一人あたりでみると、つぎのようになります。
資産総額232万1千円
- 負債総額114万7千円
- 正味資産117万4千円
平成14年3月31日現在の人口は321,049人
普通会計の市民一人あたりの額
資産総額129万4千円
- 負債総額49万8千円
- 正味資産79万6千円
4.富山市全体のバランスシートを活用した財務分析
(1)社会資本形成の世代間負担比率
これまでの世代による社会資本の負担比率
将来世代による社会資本の負担比率
参考
(2)予算額対資産比率
(3)正味資産比率
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