平成16年3月市議会定例会理由説明

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ページ番号1003112  更新日 2023年1月13日

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平成16年3月定例市議会の開会にあたり、提出いたしました平成16年度予算案、その他の議案及び平成15年度補正予算案について、その概要を申し上げ、あわせて、市政運営について所信の一端を申し上げます。

はじめに

昨年の日本経済は、雇用情勢は依然として厳しいものの、企業収益に改善が見られるなど、不安定ながら景気に持ち直しの動きがみられました。

国内では、少年犯罪や少女連れ去り事件のニュースが相次ぎ、未成年者を取り巻く教育現場や家庭、地域社会のあり方が問われることが多かった年でありました。

国外では、イラク戦争が始まり、アメリカ大統領の戦闘終結宣言後においても、今なお治安が改善しておりません。

11月末には、邦人外交官2名がイラクで襲撃され死亡し、イラク復興をめぐる自衛隊派遣問題で揺れる日本に大きな衝撃を与えました。イラクの人道復興支援を目的に派遣されている自衛隊員に対し敬意を表するとともに、任務を全うし全員無事に帰国されることを切に願うものであります。

今年に入りましても、昨年末米国で確認されたBSE(牛海綿状脳症)に伴う米国産牛肉の輸入禁止や、年はじめに山口県で発生した鳥インフルエンザといった食生活を脅かす問題、さらには昨年アジアなどで猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)の再発生といった話題で始まりました。昨年の養殖コイヘルペスウイルスを含め、動物に由来した病気が市民生活の脅威となりつつあります。

国・県のみならず、市町村においても、市民の安全と安心の確保対策が求められております。

さて、平成16年度は、本市にとりまして大変重要な年と考えております。本格化する中心市街地の再開発や、小学校の統合がスタートするとともに、富山駅周辺地区南北一体的なまちづくり事業についても、連続立体交差事業の新規着工準備個所として政府予算案に盛り込まれたほか、JR富山港線の路面電車化事業が本格始動いたします。

私は、今年一年を『進化する年』と位置づけております。本市がさらに発展するためにも、また、私をはじめ、職員一人一人が絶えず自己研鑽を続けながら、新たな環境に適応できる能力を身に付け、当面する諸課題に積極的に取り組んでいかなければなりません。

何よりも、本年は、富山地域7市町村での合併を控え、大変大事な時期であり、富山市自身が大きく『進化』しなければならないと考えております。

地方分権が進展する中、住民に最も身近で総合的な基礎自治体である市町村は、これまで以上に自立性の高い行政主体となることが求められており、長期的・広域的な視点に立ち、力強く、スリムで効率的な行政体を目指さなければなりません。

私は、スケールメリットを生かすことのできる市町村合併が、その最も有効な手段であると考えております。

このため、昨年4月に富山地域合併協議会を設置し、平成17年3月という合併特例法の適用期限内の合併に向けて、構成6町村と鋭意協議を重ね、新市の名称を「富山市」とすることを決定したほか、現在、事務事業の調整や新市建設計画の策定等を行っております。

このうち、地方税や公共料金の取扱いについては、市民生活に関わりが深く、市民の方々の関心が最も高いことから、先般、これらの主なものについて、合併協議会にて調整案を協議するとともに、市民説明会等で積極的な情報提供に努めているところであります。

今後とも、富山地域が持続的に発展しながら、都市部と中山間地域や農山漁村が共生する新しい基礎自治体の構築に向けて、市町村合併の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。

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1.予算編成の基本方針

(1)予算編成方針

次に、平成16年度予算編成方針について申し上げます。

最近の我が国経済は、企業収益が改善し、設備投資が増加するなど、景気は着実に回復しております。雇用情勢は依然厳しいものの、求人が増加するなど持ち直しの動きがあり、物価にも下げ止まりの兆しがあります。

一方、我が国財政は、バブル経済崩壊後、総じて景気回復を優先した財政運営を行ってきた結果、国・地方ともに極めて深刻な状況にあります。

また、かつてのような高い経済成長に依存した税収の伸びが期待できない中で、急速な高齢化等に伴う諸経費の増大や公債の累増に伴う公債費の増大等により、歳入歳出構造はますます硬直化してきており、財政構造についての思い切った見直しがなければ、歳出と税収の多額なギャップは年々拡大していく可能性があります。

このため、厳しい経済情勢にあっても、構造改革なくして日本経済の再生と発展はないとの考えのもと、平成16年度予算編成にあたっても、「改革断行予算」という基本路線を継承し編成されております。

特に、「三位一体の改革」については、昨年6月の「骨太の方針第3弾」で、「改革と展望」の期間中(平成18年度まで)に国庫補助負担金について概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行い、地方交付税の財源保障機能全般を見直して縮小するとともに、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、基幹税の充実を基本に税源移譲することが決定いたしました。

このことを踏まえ、平成16年度政府予算案においては、公立保育所の運営費負担金、介護保険事務費交付金など、総額約1兆円の国庫補助負担金が削減される一方、4,249億円が所得譲与税として税源移譲されることとなっております。さらに、地方交付税も大幅に抑制される見通しであります。

ちなみに、本市における影響額は、国庫補助負担金で約10億円削減されますが、5億円程度しか税源が移譲されません。さらに、臨時財政対策債を含めた実質的地方交付税は、平成15年度交付実績に比べ、約28億円の減収が見込まれます。

本市では、国と地方の税財政改革いわゆる三位一体の改革の影響と、伸び悩む市税収入と硬直化が進む歳出構造を踏まえるならば、現状の施策を見直すことなく市政の運営を推進することは、財政危機をもたらす恐れがあると考え、昨年7月、「富山市財政危機回避緊急プログラム」を策定いたしました。

平成16年度予算編成にあたりましては、この緊急プログラムの基本的考え方を踏まえ、地方自治の本旨である自己決定・自己責任の考えのもと、民間でできるものは民間の活力を生かすとともに、受益者に対しては適正な負担を求め、全体として市民負担の増加を回避しなければならないと考えております。このため、自らの財政状況を分析し、事務事業の見直し、歳出全般の効率化と財源配分の重点化を図るとともに、自主的かつ主体的に財政構造の改善に努め、めりはりのある予算となるよう編成したところであります。

特に、「富山市総合計画新世紀プラン」に掲げた各種施策を着実に進めることを基本に、本市の喫緊の課題である6分野にわたる重点テーマの諸施策を重点的かつ効率的に推進することとし、夢と希望が持てる予算となるよう最大限の努力を傾注したところであります。

(2)重点テーマ

平成16年度予算編成における重点テーマの第1は、人口増加に寄与する施策であります。
人口は都市活力のバロメータであり、人口の減少がもたらす経済的、社会的影響を考えるならば、人口増加対策は重要な課題であります。「住みたい」、「住んで良かった」、「行ってみたい」、「行ってみて良かった」と言われるようなまちづくり事業を進め、富山の魅力を掘り起こし、高め、発信するなど、いわゆる定住人口と交流人口の増加に努めてまいります。

第2は、創業支援と雇用の創出など地域経済の活性化に寄与する施策であります。
景気が回復傾向にあるものの、雇用情勢の回復が遅れております。活力ある地域経済を実現するためには、民間の活力を一層顕在化させなければなりません。このため、新産業の育成などの創業支援や企業誘致など雇用創出を図り地域経済の活性化に努めてまいります。

第3は、中心市街地の活性化と駅周辺南北一体的なまちづくりに寄与する施策であります。
本市が環日本海地域における求心力ある中核都市として飛躍発展していくためには、交通や情報通信関連などの高次都市機能の集積を図るとともに、多様な人々で賑わう個性的で魅力ある交流空間の形成がぜひとも必要であります。このため、中心市街地の活性化を図るための再開発事業や駅周辺南北一体的なまちづくりの基幹事業となる鉄道高架化事業の推進に鋭意取り組むとともに、地域公共交通の活性化に努めてまいります。

第4は、美しいとやまの創造と保全に寄与する施策であります。
富山の水と緑の景観を保全し、市民ぐるみによる環境美化活動を推進し、美しいとやまの創造と保全に努めることが重要であります。このため、景観まちづくり条例を制定し、市民意識の啓発と市民と行政の協働による景観づくりに努めてまいります。

第5は、地域社会で支える高齢者・障害者の福祉施策であります。
高齢社会が進展する中にあって、活気に満ちた都市としてより一層発展するためには、高齢者、障害者の社会参加を進めるとともに、誰もが住みなれた地域で安心して生きがいをもって生活できることが大切であります。このことから、市民との協働により高齢者も障害者も地域の連帯で支え合う豊かな福祉社会の実現に努めてまいります。

第6は、市町村合併の推進施策であります。
市町村合併を進めるにあたっては、市民に不安を与えることなく新市へ移行することが重要であります。このため、合併協議を精力的に進めるとともに、市民に対する情報の提供に努めてまいります。また、市民サービスや行政運営に必要な情報システムの統合と地域公共ネットワークの基盤整備に努めてまいります。

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2.予算規模

以上のことに努めた結果、平成16年度の予算規模は、次のとおりとなっております。

  • 一般会計 1,248億300万余円
    (対前年度当初予算比 107.4パーセント)
  • 特別会計 989億6,400万余円
    (対前年度当初予算比 97.8パーセント)
  • 企業会計 398億800万余円
    (対前年度当初予算比 96.1パーセント)
  • 総額 2,635億7,600万余円
    (対前年度当初予算比 101.9パーセント)

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3.歳出予算の概要

次に、総合計画新世紀プランの5つのまちづくりの目標にしたがって、歳出予算の主な内容をご説明申し上げます。

(1)「健康と福祉の充実したまち」をめざして

第1は、「健康と福祉の充実したまち」についてであります。

1.安心して子どもを生み育てられる環境づくり

まず、安心して子どもを生み育てられる環境づくりについて申し上げます。
こども福祉については、低年齢児保育の拡充を図るため、保育所の乳児室の整備を進めるとともに、延長保育や親子サークルの拡充を図り、次代を担う子どもの育成支援の充実に努めます。

また、多様化する保育ニーズに対応するため、平成17年4月から予定している公立保育所の民営化を円滑に進めるための引継事業を実施してまいります。

さらに、小学生を対象とした放課後の健全育成の環境づくりを推進するため、地域児童健全育成事業については引き続き事業内容などの充実を図るとともに、新たに実施した放課後児童健全育成事業についても実施箇所を拡充し、地域と行政が一体となって子育て支援の強化に努めてまいります。

2.福祉サービスと社会保険制度の充実

次に、福祉サービスと社会保険制度の充実について申し上げます。

高齢者福祉については、本格的な高齢社会を迎える中で、「富山市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、ケアハウスや特別養護老人ホームなどの施設整備を進めるとともに、高齢者が住みなれた地域で、できる限り自立した生活を送ることができるよう地域での支え合いを総合的に推進してまいります。

このため、介護予防や在宅重視の観点から、地域型在宅介護支援センターを1か所増設し、要援護高齢者地域支援ネットワークの構築や介護予防ふれあいサークルの育成等を行う高齢者地域ケア体制を推進します。また、施設入所者が在宅復帰するための施設入所者在宅復帰支援モデル事業を実施するとともに、虚弱高齢者の介護予防や要介護者の介護状態の改善を図り、活動的な日常生活を送っていただくため、パワーリハビリテーション事業を拡充してまいります。

高齢者の在宅での自立した生活を支援する施設として、地域に密着した小規模ケア施設の整備を支援するなど、介護サービス基盤の充実を図ります。

また、要介護高齢者の施設志向が高い中、在宅介護を推進するため、介護手当の支給や移送サービス等の在宅福祉サービスを引き続き実施するとともに、配食サービスについては、新たに栄養調査等を行い食の自立を支援いたします。

さらに、基幹型在宅介護支援センターに高齢者虐待の相談窓口を設置し、早期発見・早期対応を図るため高齢者虐待防止ネットワーク事業を新たに実施してまいります。

障害者福祉については、ノーマライゼーション社会の実現を目指して、「富山市障害者計画」に基づき、障害者施策を総合的・計画的に推進してまいります。

平成15年4月から障害者福祉サービスの一部が「支援費制度」に変わったことから、制度の着実な実施を図り、利用者が自らサービス提供事業者を選択し、必要なサービスが利用できるよう相談やサービス提供体制の充実に努めてまいります。

昨年11月、地域限定で規制を緩和し、経済の活性化を図る政府の構造改革特区に、県と3市2町で共同申請していた「富山型デイサービス推進特区」が認定されました。本市では、これを活用して障害者施策の拡充を図り、高齢者、障害者、児童がひとつ屋根の下で暮らせる共生社会の実現を目指します。

また、市内の介護保険の基準該当事業所において、障害者・児が短期入所(ショートステイ)を利用できるよう、県と共同で特区の提案をしたところ、特区としてではなく全国的な規制緩和が実現し、障害者の在宅福祉施策の充実が図られることになりました。本市では、これらを活用しながら、「富山型」福祉サービス事業のより一層の充実を図ってまいります。

さらに、重度の身体障害者が住み慣れた地域で暮らして行けるよう、身体障害者グループホームの運営などに市単独で助成を実施するとともに、知的障害者通所授産施設の建設に助成してまいります。

介護保険事業については、制度も定着し、要介護認定者数やサービス利用数が大きく伸びてきており、介護サービスの質の向上と適正なサービスの提供を図るため、ケアマネジャーやサービス事業者への指導、育成を一層充実するなど、介護保険事業の安定運営に努めます。

国民健康保険事業については、長期計画での赤字解消を目指し、一般会計からの法定以外の繰入れを継続するとともに、一日人間ドック・脳ドックの定員を拡充し保健事業の充実を図るなど、財政の健全化と安定した事業運営に努めてまいります。

3.コミュニティづくり

次に、コミュニティづくりについて申し上げます。

地域の特徴を生かした個性的なまちづくりを進めていくうえで、市民のまちづくりに対する積極的な参画意識を育み、コミュニティ意識の高揚を図るとともに、さまざまな分野におけるボランティア・NPO活動を促進することは、重要なことと考えております。

これまでも公園愛護活動や道路愛護ボランティア活動など、地域を主体としたボランティア活動がなされておりますが、市民の自発的なまちづくり活動に対し助成する「市民提案型まちづくり事業」の実施、さらにインターネットの活用やボランティア情報紙の発行により、適時・適切なボランティア情報の発信に努め、市民主体のまちづくりを推進してまいります。

また、昨年7月に設置した「富山市災害ボランティアネットワーク会議」を中心に、災害を想定した訓練や諸課題の検討を行い、災害時における円滑なボランティア活動の体制づくりを推進してまいります。

4.生涯にわたる健康づくり

次に、生涯にわたる健康づくりについて申し上げます。

高齢化の進展とともに、生活習慣病の増加が社会問題となっており、積極的に健康を増進し、健康寿命を延伸するための健康づくり対策の推進が重要な課題となっております。

このため、「健康は自分で守り、つくる」という疾病を予防する一次予防と自己管理に重点をおき、本年度策定した「富山市健康プラン21行動計画」に基づき、健康づくりの推進に努めてまいります。

母子保健事業については、新たに「不妊治療費助成事業」を実施し、体外受精・顕微授精等の生殖補助医療による不妊治療を受けている夫婦の、経済的・精神的負担の軽減を図ってまいります。

成人保健事業については、骨粗しょう症予防対策として、新たに50歳の節目年齢の女性を対象に「骨粗しょう症検診」を実施し、早期の骨量減少者を発見し予防に努めてまいります。

感染症予防対策については、高齢者のインフルエンザ予防接種を推進してまいります。また、SARS等の感染症蔓延防止に一層努めてまいります。

精神保健福祉事業については、近年、社会問題化している「うつ病」「ひきこもり」について、家族などの支援に取り組んでまいります。

食品衛生については、食の安全性を確保するため「富山市食品衛生監視指導計画」を策定し、計画的な監視指導に努めます。

市民病院については、地域の中核病院として、多様化する医療ニーズに応えるため、集中治療室の改築や救急患者用病室の設置などの施設整備、医療機器の計画的な導入、院内総合情報システムの推進を図るとともに、地域医療を支援する体制を整備するなど、患者の皆様から選ばれる病院、信頼される医療を目指してまいります。

また、高度先進医療に対応できる質の高い看護師の養成を図るため、3年課程の市立看護専門学校の建設に着手します。

(2)「生活と環境に配慮したまち」をめざして

第2は、「生活と環境に配慮したまち」についてであります。

1.災害に強いまちづくり

最初に、災害に強いまちづくりについて申し上げます。

災害から市民の生命、財産を守ることは、極めて重要な課題であり、積極的に推進していく必要があります。

防災対策については、総合防災訓練の実施を通じて、市民一人ひとりの防災意識の高揚と自主防災組織の育成を促進してまいります。

浸水対策については、平成14年度に策定した「富山市浸水対策基本計画」に基づき、浸水被害発生地区の解消を図るため、関係機関との連携を図りながら効率的かつ効果的な浸水対策に取り組んでまいります。

また、河川水路については、引き続き基幹河川の治水機能の充実を図るため、馬渡川、宮路川、中川の整備促進に努めてまいります。

雪対策の推進については、的確な降雪情報の収集に努め、国・県の道路管理者との連携を密にして、除雪体制の充実を図ってまいります。特に、歩行者の安全に配慮した歩道除雪の強化に努めてまいります。

2.安心・安全なまちづくり

次に安心・安全なまちづくりについて申し上げます。

交通安全対策については、引き続き高齢者や子どもの保護に重点を置いた啓発事業や交通安全施設の充実に努めてまいります。

富山駅周辺の市営自転車駐車場については、無料で24時間利用可能とし、利用者の利便を図っておりますが、今後とも放置自転車対策や違法駐車防止の街頭活動に取り組み、事故のない円滑な交通環境の確保に努めてまいります。

防犯対策については、身近な場所で凶悪な犯罪がいつでも起こり得るという憂慮すべき状況にあることから、地域住民自らによる自主防犯活動を推進することが重要であります。このことから、防犯協会などと連携した研修会の開催や活動費を補助し、各地域の自主防犯組織の育成に努めてまいります。

また、市民・行政・事業者相互の協力の下に安全な生活環境を確保するため、関係団体等から幅広く意見を聴く「安全なまちづくりに関する懇話会」を開催するなど、今後とも関係機関等と連携しながら、「安全で安心してくらせるまちづくり」の推進に努めてまいります。

交通災害共済制度については、昭和43年度に市民の交通事故災害に対する相互救済を目的として設置されたものであります。しかしながら、民間保険の充実などで加入率は年々減少してきていることから、平成15年度をもって交通災害共済事業を廃止いたします。

環境保全対策については、有害化学物質による大気、水質、土壌などの環境汚染を未然に防止し、より安全な環境を確保するため、市内全域に配置された調査地点での環境の監視・測定や汚染物質を排出する恐れのある事業所など発生源への立入調査・指導を行ってまいります。

消防については、救急救命士の養成と応急処置等の質の向上を目的としたメディカルコントロール体制の充実を図り、救急業務の更なる高度化に努めます。また、大規模災害に強い耐震性貯水槽などの消防水利を整備するとともに、老朽化した消防車両を更新し、消防防災体制の整備充実を図ってまいります。

さらに、新市の市民生活の安全を速やかに確保するため、消防・救急における119番通報の集中受信や各種災害への出動に係るシステムの再編を合併時までに着実に行ってまいります。

3.環境にやさしい循環型まちづくり

次に環境にやさしい循環型のまちづくりについて申し上げます。

地球温暖化など地球環境問題が顕在化する中、経済活動や生活面における環境への配慮から、環境負荷の少ない持続的な発展が可能な「資源循環型社会」を築くことが重要であります。

ゼロエミッションを推進するエコタウン事業については、昨年第1期の4事業が稼動を開始しておりますが、引き続き第2期の事業化に努めてまいります。

廃棄物の適正処理については、不法投棄防止パトロールを継続し、不法投棄の未然防止に取り組んでまいります。

家庭ごみの収集については、ごみ集積場におけるカラス対策用具の普及を図るなど、環境美化の推進に努めます。

現在整備中の北代緑地公園は、路盤材に配慮を施したジョギングコースやパークゴルフの練習コース、子供たちの遊戯施設などを設けることとしており、「次代につなぐ森」として、平成16年度中の完成を目指しております。

まちの環境美化については、「富山市まちの環境美化条例」に基づき、市民・行政・事業者等が相互に協力して、公共の場所での吸い殻、空き缶等のポイ捨て防止や青少年の健全育成を阻害する恐れのある違法立看板等を撤去するなど、環境美化の推進に努めてまいります。

また、富山駅周辺や中心商店街などにおいて、来街された人々誰もが安心して、楽しく、快適に買い物などができるように、まちの案内、挨拶、介助、清掃・整理などのさわやか活動を行うアーバン・アテンダント活動を実施し、引き続き富山市のイメージアップと街の環境美化意識の高揚を図ってまいります。

4.水と緑の保全と創造

次に、水と緑の保全と創造について申し上げます。

身近な緑の環境をより豊かにするため、街並みを花と緑で彩る施策を一層推進してまいります。

公園整備事業については、市民による緑化推進の拠点となる呉羽山公園都市緑化植物園や、身近な公園として水橋東公園や四方よかた公園などを計画的に整備してまいります。

城址公園については、中心市街地の賑わいを創出できるよう整備計画を見直し、水と緑のネットワ-クを形成し、多様な人々で賑わう魅力ある公園となるよう努めてまいります。

また、ファミリーパークにおいて、体験的環境学習の拠点となる「自然体験センター」の建設を継続し、平成17年3月に開設を予定しております。

5.都市景観の形成と市街地の整備

次に都市景観の形成と市街地の整備について申し上げます。

美しいまちの景観は、市民共有のかけがえのない財産であり、それを守り育て、さらに次代へよりよいものとして残していくことが、現代に生きる私たちの使命であります。

このため、中心市街地の幹線における電線類地中化や街路の緑化により景観の向上を図るとともに、新たに設置する条例に基づき景観まちづくりの基本方針や大規模建築物等の景観誘導基準を策定してまいります。

土地区画整理事業については、山室第2地区や下新町地区において、幹線道路や区画道路を計画的に築造し、良好な市街地の創出に努めるとともに、西荒屋地区、藤木東地区、打出地区の組合施行土地区画整理事業を支援してまいります。

また、岩瀬地区において、引き続き地域の提案による旧家の風情や歴史・文化性を生かした公共施設整備を行い、市民との協働によるまちづくりに努めてまいります。

6.住環境の整備

次に住環境の整備について申し上げます。

市民の住宅需要は多様化してきており、より良質で良好な住環境の整備が必要と考えております。

特に、都心の定住人口減少や高齢化などの社会情勢の変化に対応し、高齢者向け優良賃貸住宅制度や特定優良賃貸住宅制度に基づき、都心部において民間が建設する優良な賃貸住宅の建設費や家賃に対し支援するとともに、まちなか居住モデル事業調査を実施いたします。

公営住宅については、引き続き布目団地の整備を進めるほか、新たに水橋中村団地において本市として初めての社会福祉施設(デイサービスセンター)併設型の公営住宅団地を目指し建替えに着手します。

また、本年度策定している富山市公営住宅ストック活用計画に基づき、バリアフリー化した「高齢者向け改善住宅」の整備や既存公営住宅でのエレベーター設置を図るとともに、リフォームなどの改修を行い、住環境の改善に努めてまいります。

さらに、老朽化した団地の今後の建替えについて、民間活力を活用したPFI導入の検討調査を行うこととしております。

7.上・下水道の整備

次に、上・下水道の整備について申し上げます。

水道事業については、今後とも安全でおいしい水を安定供給できるよう、主要配水幹線の新設及び布設替えなどを進めてまいります。

また、基幹施設である流杉浄水場の改築に向けて、実施設計を行います。

下水道事業については、快適な生活環境の創出を図るため、引き続き幹線管渠の整備や浜黒崎浄化センターの施設整備を計画的に進めるとともに、「下水道合流改善計画」を策定し、合流区域の排水能力向上と水質保全に取り組んでまいります。

農業集落排水事業については、三郷地区、新保西地区で引き続き整備を進め、普及促進に取り組んでまいります。

この結果、本市の農業集落排水事業などを含めた汚水処理人口普及率は、平成16年度末には、91%程度に達する見込みであります。

(3)「個性と創造性を育むまち」をめざして

第3は、「個性と創造性を育むまち」についてであります。

1.豊かな人間性を育む学校教育の充実

まず、豊かな人間性を育む学校教育の充実について申し上げます。

小学校・中学校においては、生涯学習社会に必要不可欠な資質である豊かな人間性を育むために、基礎・基本を身に付けるとともに、自ら問題を解決していく力など「確かな学力」の向上と、「心の教育」の充実に努めてまいります。特に、子どもたちの主体的・積極的な学習活動と読書活動が展開できるよう学校図書館司書の増員など、学校図書館の充実に努めます。

いじめ・不登校の問題や非行事件など子どもたちを取り巻く環境は、依然として憂慮すべき状況にあります。このため、スクールカウンセラーや校内適応指導教室指導員などを配置し、きめ細かな相談体制を整えてまいります。また、教育センターでは、児童生徒並びに保護者の多様化する教育相談に、より適切に対応するため、臨床心理士の配置を充実し、その専門的な助言を得て、相談業務や指導体制の充実に努めます。

また、小学校教諭が富山外国語専門学校での夏季集中研修やALTとの交流会に参加し、英会話能力を高め、小学校での国際理解教育を充実してまいります。

小学校・中学校の施設整備については、大広田小学校の移転改築に着手するとともに、校舎の耐震補強を含めた大規模改造や体育館の改築を行います。また、学校プールの改築やグラウンド改修をはじめ施設の維持修繕に努めるなど、安全で快適な教育環境づくりを計画的に推進してまいります。

また、学校保健につきましては、生活習慣病の症状を持つ子どもや、将来その病気になりやすい子どもたちを早期に発見し、生涯にわたって健康な生活を送ることができるよう、小学4年生・中学1年生を対象に小児生活習慣病の検診を継続して行ってまいります。

都心地区の小学校統合問題については、星井町小学校、五番町小学校、清水町小学校の3校が五番町小学校の場所で統合することが決定いたしました。本年4月には、星井町小学校と五番町小学校が「星井町五番町小学校」として一次統合し開校いたします。

さらに、総曲輪小学校、愛宕小学校、八人町小学校、安野屋小学校の4校についても統合することで地元の合意が整いました。

このことから、新たに統合校整備等推進室を設けるとともに、統合校の新校舎の早期建設に努めたいと考えております。

2.生涯学習の推進とスポーツ・レクリエーションの普及

次に、生涯学習の推進とスポーツ・レクリエーションの普及について申し上げます。

物の豊かさから心の豊かさが求められる今日、充実した人生を送るために必要な生涯にわたって学び続けることができる環境づくりとして、市民大学の内容の一層の充実を図ります。

また、地域に根ざした学習の推進に努める必要があることから、小学校と公民館が一体化した岩瀬公民館を新築するなど、社会教育施設の一層の充実を図ってまいります。

図書館については、生涯学習時代における市民のニーズに広く応えていくために、蔵書の充実とインターネット検索や電子図書等による情報提供の充実を図るとともに、子どもの読書活動の推進にも努めてまいります。

郷土博物館については、耐震改修計画に基づき、引き続き整備してまいります。

科学文化センターでは、市域の広域化と高度情報化時代に対応し、富山の自然のアイデンティティーを鮮明にした、特色ある展示室への更新に向けて実施設計を行います。

スポーツ・レクリエーションの普及については、生涯スポーツ社会の実現に向け、「健康スポーツ」、「競技スポーツ」を両輪とした生涯スポーツの推進に取り組むとともに、その基本的な活動基盤となる総合型スポーツクラブの啓発・育成に引き続き努めてまいります。

また、新規事業として、旧立山道をたどるウオーキングイベントを実施し、健康で明るい社会づくりに寄与するとともに、観光イベントとも合わせて開催することにより、富山の歴史と大自然の素晴らしさを全国に発信します。

さらに、手軽なスポーツとして中高年層を中心に人気が高い、パークゴルフ場を整備いたします。

3.明日を担う青少年の育成

次に、明日を担う青少年の育成について申し上げます。

核家族化、少子化が進行する中で、家庭や地域における教育機能の低下が指摘されるなど、青少年を取り巻く環境は大きく変化してきております。このような中で、次代を担う青少年が豊かな人間性と個性を発揮し、心身ともに健やかに成長するための環境を整えることが大切であります。

このため、家庭、地域、学校と関係行政機関が一体となって、学校や公民館等を利用しながら、地域ぐるみによる健全育成を推進してまいります。

また、青年相互の交流と社会参画を促進するため、青年自ら企画・運営する「青年男女の出会い創出事業」を実施し、青年の活力を地域社会に活かす環境づくりに努めてまいります。

4.男女共同参画社会の推進

次に、男女共同参画社会の推進について申し上げます。

男女が、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現に向けた取り組みが必要であります。

このため、「富山市男女共同参画推進条例」及び「富山市男女共同参画プラン」に基づき、地域リーダーの活動推進や市民フェスティバル開催、情報交流誌の発行等、より一層積極的に施策を推進してまいります。

また、男女共同参画推進の拠点施設である「富山市男女共同参画推進センター」において、各種講座や相談事業の充実に努めてまいります。

5.とやまの文化の創造

次に、とやまの文化の創造について申し上げます。

市民生活に潤いや安らぎをもたらし、心の豊かさを実感できるまちづくりを進めるためには、地域文化を育てるとともに、常に新しい文化が生まれ育つ環境の整備が必要であります。

このため、未来の文化創造を担う子どもたちが集う「アジア太平洋こども演劇祭」への支援を行います。

また、桐朋学園富山キャンパスでは、より充実した定期演奏会を開催するほか、引き続き小学校や保育所等への出向演奏会や学内演奏会を行うなど、市民との交流がより一層深まるよう支援してまいります。

さらに、オーバード・ホールでは、市民参加によるオペラ「カルメン」や、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会、ミュージカル「葉っぱのフレディ」など、大人から子どもまで幅広く親しめる作品を提供し、優れた舞台芸術に触れる機会の充実に努めてまいります。

ガラス芸術の分野については、ガラス美術館・ストリートエリア構想を推進するとともに、「TOYAMA GLASS * ONE(トヤマ グラス ワン)2004」を開催し「ガラスの街とやま」を広くアピールしてまいります。

また、市民が気軽にガラス造形を体験できるガラス工房の拡充整備については、本年9月末までに完了する予定であります。

6.国際交流の推進

次に国際交流の推進について申し上げます。

国際化が一層進む中、姉妹友好都市をはじめ、諸外国の人々との交流機会の拡大を図ることにより、市民一人ひとりが国際社会の一員であるという自覚を深め、世界の多様な文化を理解することがますます重要となってきております。

こうした中で、富山市国際交流センターが昨年12月に富山駅前CiCビル3階に移転いたしましたが、これを契機に、より一層、富山県国際交流センターなど、駅周辺の文化施設との連携に努め、市民による国際交流活動の活性化に努めてまいります。

また、姉妹友好都市との交流につきましては、秦皇島市から友好訪問団や医学研修生、ダーラム市からは中学生親善訪問団や職員を受け入れるなど、着実な交流を積み重ねてまいります。

今後とも世界に開かれた「国際都市とやま」を目指して、総合的に国際交流施策を進めてまいります。

(4)「人びとが集い賑わうまち」をめざして

第4は、「人々が集い賑わうまち」についてであります。

1.交流拠点都市の形成

最初に、交流拠点都市の形成について申し上げます。

本市におけるこれからの「まちづくり」の方向として、「人、もの、情報」の一層の交流促進を図るとともに、都心の定住人口減少や高齢化などの社会情勢の変化に対応し、市街地中心部などへの人口回帰を図ることが重要となってきております。

このため、市街地整備というハード事業に加えて、ソフト事業を含めた総合的な施策の展開を図り、様々な都市機能が集積したまちづくりを進めてまいります。

北陸新幹線については、現在、地元との設計協議と併せ、富山駅周辺では用地取得が進められております。今後とも、鉄道建設・運輸施設整備支援機構や県とともに早期建設に向け、沿線住民の理解が得られるよう努力してまいります。また、南越までの工事実施計画一括認可に向け、引き続き県や関係機関と密接な連携を図りながら国へ強く要望してまいります。

富山駅周辺地区南北一体的なまちづくりについては、平成16年度政府予算案に富山駅周辺連続立体交差事業が新規着工準備箇所として盛り込まれたことから、鉄道の高架化とそれに伴う周辺整備についての具体的な調査・検討を進め、その早期実現に努力します。

また、富山港線の路面電車化については、路面電車を運営する新会社を4月に設立し、公設民営を基本に、平成18年度当初の開業に努めてまいります。

市街地再開発事業の総曲輪通り南地区及び西町・総曲輪地区については、中心市街地の活性化をリードする重要な事業であることから、引き続き事業の促進に努めてまいります。また、周辺のグランド通り及び平和通りにおいて公的施設整備を行うため、各方面と具体的な調整を図ってまいります。

さらに、都心居住の推進のため、堤町通り一丁目地区の地元施行者による優良建築物等整備事業を支援してまいります。

また、ソフト事業の一つであるコンベンション開催補助金の内容を充実させるとともに、新たにシャトルバス補助金を創設し、コンベンションの誘致に努めます。

2.公共交通網の充実

次に、公共交通網の充実について申し上げます。

公共交通機関は、市民生活の様々な分野で人々の移動を担う重要な役割を果たしております。

このため、市民に最も身近な公共交通機関である路線バスの維持存続や鉄道施設の近代化を図るため、交通事業者に対し、国・県とともに引き続き支援いたします。

また、地域住民の交通の確保を図るため、地域が主体的に企画・立案し運行するバス事業に対し、新たな補助制度を設け支援してまいります。

さらに、鉄軌道の利便性を高めるため、主要な鉄軌道の駅と近隣の住宅地等を結ぶ地域交通の導入の可能性について調査研究してまいります。

昨年試験的に実施した既存の路線バスを有効活用し、高齢者を対象とするおでかけバス事業については、利用時間帯の拡大を図るとともに、通年で実施いたします。

また、昨年のタウンモビリティ導入調査を受け、中心地区での高齢者移動支援システムの導入に向けた試行実験を実施いたします。

3.道路網の整備

次に、道路網の整備について申し上げます。

広域的な連携と交流を図る基幹道路の整備については、昨年3月29日に北陸自動車道富山西インターチェンジが供用開始されました。さらに7月8日には地域高規格道路「富山高山連絡道路」の一部区間、細入村楡原と大沢野町小糸を結ぶ猪谷楡原道路が起工されております。今後とも地域高規格道路「富山高山連絡道路」及び「富山外郭環状道路」、一般国道415号富山東バイパスなどの整備促進について、国・県に対し要望してまいります。

また、都市の骨格を形成する幹線市道の整備については、引き続き金屋線、寺町線、牛島城川原線などの整備を進めてまいります。

さらに、市民生活に最も身近な生活道路については、舗装や側溝の補修・改良、変則交差点の改良を進めるとともに、障害者や高齢者の方々が安心して通行できる快適なバリアフリー歩道の整備に努めます。

富山外港の整備については、外港整備関連に関する各種調査を実施するとともに、船舶の大型化や国際化に対応できる高度な港湾機能を備えた施設整備に向けて、国・県に対し強く働きかけてまいります。

(5)「活力ある産業振興のまち」をめざして

第5は、「活力ある産業振興のまち」についてであります。

1.商業・サービス産業の振興

まず、商業・サービス産業の振興について申し上げます。

空洞化が憂慮される中心市街地の活性化については、株式会社まちづくりとやまが実施する空き店舗を活用した「(仮称)街なかサロン」を支援し、来街者の交流や子育て親子の交流の場を提供することにより中心市街地の賑わいを創出します。

また、同株式会社による商店街の活性化を図ることを目的とするインキュベータ・ショップ運営事業や中心市街地活性化コミュニティバス運行事業を支援するとともに、「まちづくり公房」における市民からの企画・提案事業を実施するための調査など、市民参加によるまちづくり推進事業を支援し、市民・商業者・行政が一体となったまちづくりに取り組みます。

商店街の振興については、「富山市商業振興ビジョン」に基づき、商店街が取り組む各種事業に対し、引き続き支援するとともに、新たに、中心市街地における駐車場のあり方や料金システムを構築するための調査・検討事業を支援いたします。

中小企業者の事業経営の安定と資金調達の円滑化を図るため、平成14年11月に創設した緊急経営基盤安定資金については、融資枠の拡大や融資要件の緩和を行い、中小企業者の資金需要に応えてまいります。また、複雑、多様化する経営相談に対応するため、富山商工会議所が行う専門家による相談体制の確立について支援してまいります。

デザインの振興については、富山市デザイン協議会の活動を支援するとともに、「富山デザインフェア」を開催し、本市の商業デザイン産業の育成を図ってまいります。また、市民に街かどでポスターに親しんでもらうため、ポスター塔を設置いたします。

工芸の振興については、ガラス工芸の振興に努めるとともに、本市の貴重な伝統工芸である木象嵌の技術伝授を引き続き支援してまいります。

2.工業の振興

次に、工業の振興について申し上げます。

企業を取り巻く経済環境は依然として厳しい状況ではありますが、産業の活性化と雇用機会の拡大を図るためにも、企業誘致は大変重要であります。

このため、企業立地における用地のリース方式や割賦方式を導入するとともに、用地賃借料に対する助成制度の創設や大規模投資に対する助成の拡充など、立地企業の初期投資の軽減を図ることにより、金屋企業団地などへの企業誘致の推進に努めてまいります。

また、医薬・バイオ・ITなど成長産業分野の研究開発型ベンチャーの育成により産業・経済の発展を目指す「ハイテク都市基本構想」の具体化を図るため、企業や研究者への意向調査を行うとともに、関係機関との協議を進めてまいります。

薬業の振興については、県内外で「富山くすりフェア」を開催し、配置薬の販路拡大を図るとともに、県内外の配置販売業者と県内医薬品製造業者の交流を支援してまいります。

さらに、300年の伝統をもつ「富山のくすり」をPRするため、東京都でのラッピングバス(全面車体広告バス)の走行に支援してまいります。

3.農業の振興

次に、農業の振興について申し上げます。

農業の担い手不足や農畜産物の輸入増大など厳しい環境の中、生産性の高い農業の確立と安全な農作物の確保が必要であり、国においては米政策改革の本格的な推進を図ることとしております。

このため、水田農業については、集落営農や大規模経営の育成を推進し、生産の低コスト化と安全安心な売れる米づくりを進めてまいります。また、米の計画的生産と大豆などの作付けを推進するため、引き続き農業者などの取り組みを支援してまいります。

さらに、高品質で安全な農産物の需要の高まりに対応するため、引き続き米流通合理化施設の整備を支援してまいります。

農漁業に対する消費者の理解増進と地産地消の推進を図るため、農漁業体験など都市と農漁村の交流(グリーンツーリズム)を促進するとともに、中心市街地に、農産物や加工品の展示・販売を含め消費者との情報交換の場となるアンテナショップを開設します。

さらに、新鮮で安心できる地場野菜を学校給食に提供するため、野菜生産ほ場の拡大を進めてまいります。
加えて、新しい農業形態育成の方策を研究するために、市内在住の都市生活者に対して、農業との新しい関わり方に関する意識調査を実施してまいります。

また、力強い農業と住みよく活力ある農村づくりを目指し、生産基盤整備を進めるとともに、農村環境の整備に努め、さらに農業用水のミニ水力発電の可能性についても引き続き研究してまいります。

このほか、古洞の森自然活用村の管理を全面的に民間委託することにより、経費節減と民間活力の導入を図ります。

4.水産業の振興

次に、水産業の振興について申し上げます。

水産業の振興については、水橋漁港では東防波堤の臨海道路など漁港基盤整備のほか、漁港利用調整事業(フィッシャリーナ)として西防波堤などの整備により、市民に親しまれる漁港を整備いたします。四方よかた漁港では円滑な漁港活動を図るため、継続して漁港の総合的な整備を進めてまいります。

また、漁業資源の持続的な利用を図るための栽培漁業や漁業の近代化・活性化と経営の安定化などを支援してまいります。

5.観光の振興

次に観光の振興について申し上げます。

観光の振興については、通年・滞在型の観光を目指すとともに、「人、もの、情報」の広域的で活発な交流が行われる賑わいのあるまちづくりを推進していくことが必要であります。

このため、富山商工会議所が中心となって、新たな観光資源を発掘しようとする産業観光ルートの調査などを支援いたします。
また、観光客誘致機能を強化するために、新たに誘致推進員を富山市観光協会に配置し、観光客の誘致に努めます。

観光行事については、春の風物詩「全日本チンドンコンクール」が第50回記念を迎えることから、チンドンスーパーライブなど内容の充実を図り、より多くの方々に楽しんでいただくよう努めてまいります。

また、おもてなしの心醸成研修事業の拡大など、観光客の受け入れ体制の充実に努めてまいります。加えて、松川、いたち川の新たな観光資源の発掘や活用を図るなど街なか観光の推進に努めてまいります。

6.創業の支援と雇用の創出

次に、創業支援と雇用の創出について申し上げます。

創業支援については、「とやまインキュベータ・オフィス」や「ハイテク・ミニ企業団地」など創業者支援施設の入居企業を支援してまいります。また、ベンチャー企業の新商品出展にも助成してまいります。

さらに、大きな雇用効果が期待できる情報通信関連企業にオフィス賃料などの助成を行うとともに、新たな関連企業の誘致に努め、一層の雇用の拡大を図ります。

依然として厳しい雇用情勢が続いていることから、高年齢者職業相談室の充実とともに、雇用開発推進員による企業訪問を行い、新規求人の掘り起こしに努めます。また、雇用のミスマッチの解消を図るため、富山地域職業訓練センターにおいてパソコン実用講座など求職者等の能力開発に努めます。

さらに、障害者の雇用促進を図るため、就業を支援するとともに、障害者雇用の優良な事業所を表彰し、雇用環境の改善に努めてまいります。

勤労者福祉の向上対策については、勤労者の生活の安定を図るため、勤労者小口資金融資制度を継続するとともに、富山市勤労者福祉サービスセンターの運営を支援してまいります。

(6)「開かれた行政」の推進

次に、「開かれた行政」の推進について申し上げます。

1.開かれた行政の推進

公正かつ透明で開かれた市政を推進するためには、市政への参画機会の拡大を図るとともに、市民と行政が常に情報を共有し、政策の優先順位などをオープンに議論する市民と行政の協働によるまちづくりが重要であります。

このため、市政について市民の皆さんと意見を交わす対話集会(タウンミーティング)や、私が週末の時間を利用し、直接市民の皆さんに市政に関する説明を行う「週末出前トーク」を、昨年に引き続き実施いたします。
また、「広報とやま」の内容充実を図るとともに、本市が保管する写真等をホームページで公開するほか、各種メディアによる効率的な情報提供に努めてまいります。

さらに、審議会等の委員公募の促進を図るとともに、政策や計画等の案の策定段階において、パブリックコメント制度を積極的に活用するなど、市民の意見を市政に幅広く反映してまいります。

また、審議会等の公開の推進や情報公開制度の円滑な運用などにより、市政情報の適時・適切な提供に努めてまいります。
一方、高度情報化の著しい進展に伴い、個人情報の利用が拡大する中で、個人情報の保護を一層推進するため、現在の個人情報保護条例の改正を検討いたします。

このほか、開かれた市政の推進と市政に対する市民の信頼向上を目的とした「富山市行政苦情オンブズマン制度」の活用により、市民からの苦情に対し中立・公正な解決に努めてまいります。

2.行政情報ネットワークの整備

次に、行政情報ネットワークの整備について申し上げます。

行政の様々な分野へのITの活用とこれに併せた既存の制度・慣行の見直しにより、市民の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上を図ります。

このため、本市では、職員への一人1台パソコンの整備、ホームページによる行政情報の公開、総合行政ネットワークへの接続、全庁型地図情報システムの構築など、行政の情報化のための各種施策を総合的・計画的に推進しております。

引き続き、これら行政の情報化のための施策を拡充するとともに、申請・届出等事務のオンライン化の検討や、電子入札システム導入に向けての実施設計に着手することとしております。

また、行政が管理する個人情報や内部情報の保護については、個人の財産・プライバシーの侵害や行政事務の安定運営が妨害されることのないよう、情報セキュリティについて制度面・技術面・運用面から、万全の対策を講じてまいります。

さらに、現在協議中の市町村合併に伴い必要となる住民記録、税、福祉・保健・医療などに係る電算システムの統合については、市民サービスに支障をきたすことのないよう、合併時までに着実に取り組んでまいります。

3.行政改革の推進

次に、行政改革の推進について申し上げます。

地方分権の大きな潮流の中で、地方自治体においては、自己決定と自己責任の原則のもと、自主性と自立性に富んだ施策を実行するとともに、厳しい財政環境を踏まえ、真に必要な行政サービスの再構築を図るなど、総合的かつ効果的な地域経営を推進することが必要であります。

このため、本市では、これまでも平成10年度に策定した「新富山市行政改革大綱」に基づき事務事業の見直しや民間委託、適正な組織・人事管理、出資法人の見直しなどに取組み、簡素で効率的な行財政運営に努めております。

平成16年度においては、財団法人富山市舞台芸術パーク財団を財団法人富山市民文化事業団に、財団法人富山市スポーツ振興財団を財団法人富山市体育協会に、4月1日をもって統合いたします。

また、年度末の市町村合併を見据え、さらなる事務事業の見直しや民間委託の推進などにより、一層効率的な行政の推進に努めるとともに、引き続き職員の意識改革を図りながら、成果重視の行政運営に取り組んでまいります。

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4.歳入予算の概要

次に、歳入予算の概要について申し上げます。

一般・特別・企業の各会計を通じて、歳入予算の計上にあたりましては、政府経済見通し、地方財政計画などを参考にしながら積算しております。

特に、市税については、国の三位一体の改革や経済動向、地方税制改正等による影響額、さらに平成15年度決算見込み額などを総合的に勘案し、計上したところであります。

地方交付税については、国の地方交付税総額や本市の基準財政収入額及び需要額の動向などを勘案し、見込み得る額を、国及び県支出金については、それぞれ事業に見合った額を計上しております。

市債については、地方債計画をもとに地方交付税措置のある有利な起債事業を厳選するとともに、できる限り市債の発行を抑制し、将来の財政の健全性に努めたところであります。

使用料・手数料等については、過去の実績を勘案するとともに、適正な受益者負担の見直しを図った上で、見込み得る額を計上しております。

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5.その他の案件

次に、予算以外の案件について申し上げます。

条例案件は、本市の景観まちづくりに関する施策の基本となる事項を定めた「富山市景観まちづくり条例制定の件」や人事院勧告以外の本市独自の人件費削減を実施するための「富山市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例制定の件」など33件であります。

以上が提出いたしました案件の概要であります。

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平成15年度補正予算等の概要

次に、平成15年度各会計予算の最終補正を行うものなどについて、ご説明申し上げます。

予算案件のうち、一般会計では、国の補助事業の認証に伴うものとして、西町・総曲輪地区市街地再開発事業に要する経費や道路景観形成事業に要する経費を計上しております。

また、商工業振興条例に基づく企業立地助成金や県施行の街路事業等に対する負担金、及び城山公園などの用地取得に要する経費などを計上しております。

篤志によります寄附については、当面、塵芥処理に要する経費の中で財源の振替措置を行いますが、新年度において環境啓発に要する経費として役立てたいと考えております。

精算補正については、補助認証の確定に伴うものや、国・県支出金、市債の増減などについて、財源の振替措置を行うものであります。

繰越明許費については、年度内に完了が困難な高齢者向け優良賃貸住宅及び特定優良賃貸住宅の建設費補助などについて、繰越措置を行うものなど13件であります。

継続費の補正については、公営住宅布目団地3号棟の契約額の確定に伴うものであります。

債務負担行為については、四方よかた漁港の環境整備について、国の補助認証に伴い追加補正するものであります。

特別会計の主なものは、国民健康保険事業及び介護保険事業では保険給付に要する経費などを計上したほか、交通災害共済事業では事業廃止に伴う精算補正を行うもの、老人保健医療事業では医療給付費の減額などを計上しております。

企業会計の主なものは、水道事業及び下水道事業では、関連工事費の減やコスト縮減などに伴う精算補正を行うもの、病院事業では、医薬材料費に要する経費などを計上しております。

専決処分の報告については、除雪に要する経費について急を要したことから、ご報告申し上げ承認を求めるものであります。

その他の案件としては、市営住宅の明け渡し並びに滞納家賃の支払等を請求する訴えの提起の件及び字の区域の変更の件であります。

以上が、提出いたしました平成15年度最終補正など、諸案件の概要であります。

なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申し上げます。

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