心に残る風景 車窓から 2022年12月5日

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ページ番号1009767  更新日 2023年1月13日

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「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。…」二十歳のころ読んだ川端康成の長編小説「雪国」の有名な書き出しである。主人公が目にした雪国の風景と底冷えするような空気感がダイレクトに伝わり、一気に物語の中に引き込まれて行く。国境の長いトンネルとは、上越線の清水トンネル、舞台となる温泉地は越後湯沢と言われている。
学生時代に特急はくたか号(上越線経由)や白山号(信越本線経由)で、片道6時間以上をかけて、富山東京間を移動したものである。昨今は専ら仕事で移動することが多いが、富山東京間が北陸新幹線で結ばれ最短2時間7分と大変便利になった。しかし、冬の晴れ渡った関東平野から長いトンネルを抜けて信越地方に入ると、新幹線の車窓には以前と変わらない雪景色が広がる。当時は、横川駅(群馬県・信越本線)で売り子さんから「峠の釜めし」を買って車内で食べるのも旅の楽しみの一つであった。車窓からは、人々の営み、新緑や紅葉の山々、リンゴ畑や田園風景、厳冬の日本海など、四季折々の情景が楽しめ時間がゆったりと流れていた。
さて、車窓の眺めも超特急になったとは言え、この機会に富山発東京行きの北陸新幹線からのおすすめ風景ポイントをいくつか紹介したい。まず、富山駅を出発して数分すると早速に雄大な立山連峰を仰ぎ見ることができる。冠雪をいただいた秋晴れの日などはまさに絶景だが、富山市から朝日町までの間は見る角度によってその姿が刻々と変わり、眼下の田園風景とも相まって四季を通してさまざまな顔を見せてくれる。また、ほんの数秒だが、滑川と魚津の間を流れる早月川付近の左側車窓からは、早月川の急流と4本の橋梁(きょうりょう)、ミラージュランドの赤い観覧車と青く輝く富山湾、晴れた日には湾越しに能登半島も一望できる。糸魚川付近では眼下に姫川(ひめかわ)や糸魚川市街地と日本海。長野県に入ると小布施(おぶせ)や信州の山々、リンゴ畑、千曲川(ちくまがわ)、長野市街。軽井沢駅に近づくとわずか数分だが日本を代表する活火山・浅間山(あさまやま)が美しい稜線(りょうせん)を見せる。群馬県に入りトンネルを抜けると妙義山(みょうぎさん)・榛名山(はるなさん)・赤城山(あかぎさん)など、富山の山々とは趣のちがう上毛三山(じょうもうさんざん)をみることができる。関東平野を走り大宮駅が近づくにつれ富士山や筑波山(つくばさん)が姿を現す。上野駅を過ぎ近代的なビル群を抜けると列車は東京駅に滑り込む。もちろん、個人的には我が故郷を代表する「立山連峰の眺望」が一番のおすすめだ。
話は変わるが、富山市では美しい立山連峰を眺めることができる「立山あおぐ特等席」を市内に11カ所指定している。今回新たに市内全域からの候補地を募集することとしたので、ぜひともあなたのお気に入りの「立山あおぐ特等席」を紹介いただきたいと思うのである。

写真:立山連峰
北陸新幹線の車窓からの立山連峰

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