令和6年能登半島地震備忘録~明日のために(4)公助~ 2024年5月5日
呉羽山断層帯に起因する震度7クラスの巨大地震から私たちの大切な命と生活を守るには、「自助・共助・公助」が、それぞれの役割・機能を十分発揮し連携して対応することが重要になる。今回は、本市が取り組むべき「公助」について、能登半島地震を経て明らかになった問題点を検証し、今後の対策について検討してみたい。
本市は、発災直後の17時、市役所内に災害対策本部を設置し、警察や消防などの関係機関と連携して人身・物損などの被害状況の把握や情報発信に努めると同時に、避難所の開設、支援物資の輸送、病院や福祉施設などの状況、上下水道や道路・橋梁・法面などの状況把握などに努めた。そもそも巨大地震が発生した場合は、交通網が寸断され速やかな参集は不可能であったと思われる。如何(いか)なる状況下でも行政機能の継続は必須であり、本部員や避難所要員の参集方法に課題が残った。
結果として、当日は市内に95カ所の避難所を開設し、約8,100人の方々が避難された。避難所の開錠・開設が遅れたことにより、住民自らがガラスを割るなどして安全確認前の避難所に入られたケースが9件確認され、休館時の避難所開設に課題が残った。避難所での感染症対策やプライバシーの確保、小さなお子さん連れの方々や高齢者、障がいを持つ方々、ペット同伴者への対応や、暖房などの施設の設備面での不備も確認された。支援物資の輸送では、水・食料・毛布などを14班体制で避難所へ届けたが、道路が通行できない事態も想定されるため、災害備蓄品の備蓄場所や数量などに課題が残った。
さらに、津波から逃れるため、多くの市民が沿岸部から高台に向けて車で避難されたため各地で大渋滞が発生した。まずは最寄りの避難場所へ徒歩で避難し困難な場合は自宅の高い場所へ垂直避難するという避難行動の周知、津波ハザードマップや災害時持ち出し品の周知が不十分であった。災害協定を締結している福祉避難所や企業・団体との連絡体制や平常時からのコミュニケーション、地域固有の災害リスクに対応した防災訓練の実施が必要不可欠である。
市民の命と生活を守るための「公助」の一部ではあるが、まずは行政サービスを停滞させないための本市業務継続計画の再チェックと、上下水道管のさらなる耐震化などのライフラインの強化は急務である。加えて、被災した公共インフラの早期復旧はもとより被災した農業施設・漁港や液状化被害からの復旧など、被災された市民や事業者に寄り添った対応が重要である。さらには、全戸配布する冊子「防災の手引き」の活用や、全自治振興会での新たな防災研修、地域自主防災会の設立支援と活動支援による地域防災力の強化など、自助と共助を支えるための「公助」にも力を入れて取り組みたい。
そして、「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」。今一度、この東日本大震災の教訓を胸に刻みたい。

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