四季折々の山の恵み 2023年4月5日

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ページ番号1012421  更新日 2023年4月5日

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晴れ渡った2月の休日、久しぶりの陽気に誘われて愛犬と散歩に出かけた。田んぼの雪はすっかり解けたとは言え、さすがに頬に当たる風はまだ冷たい。いつもの目的地である川べりのお地蔵さんを目指し、グイグイと突進する彼に引っ張られて小走りに進んで行く。牛にひかれて善光寺参りならぬ、犬にひかれてお地蔵さん参りである。やがてお地蔵さんに着くと、手を合わせる主人を尻目に彼はいつものように満足げな顔をして田園風景を眺めている。ふと川の土手に目を落とすと蕾のフキノトウが2つ、ひょっこりと顔を出している。 もうすぐ春がやってくる、そう感じる瞬間である。 

さて、相変わらず遠くを眺める彼の視線の先には、田んぼ越しに残雪の里山が一望できる。冬から 春へと移り変わる季節、里山では雪の間の至る所に春の代表的な山菜であるフキノトウが顔を出す。 桃の節句のころには食卓にフキノトウの天ぷらや ふき味噌が並ぶ。子どもの頃は、独特の香りと苦みが嫌でお世辞でも美味しいとは思わなかったが、この味が待ち遠しくなったのはお酒をたしなむようになってからである。 

富山の里山には四季折々の自然の恵みがある。 春はフキノトウから始まり夏にかけては、コゴミ、 蕨、ゼンマイ、ヨモギ、タラの芽、ウドなどが採れる。 今はもっぱら食べる専門だが、子どもの頃は家族 や友達と蕨やゼンマイを採りに行ったものだ。春山は新芽が吹いて新緑のみずみずしい香りが実にやさしい。鶯の鳴き声も春山の風物詩だが、上手く鳴けない新参者もいたりする。

かつては里山の竹林もよく手入れされていて、 筍掘りにもしばしば出かけた。こやし袋に一杯分採ったらその日は終了である。筍は、子どもの頃から大好物であり、「食べ過ぎると腹痛になるからほどほどにしなさい。」と母によく注意されたものだ。 煮ても焼いても炒めても、炊き込みご飯にしても、とにかく美味しい。個人的には卵とじがお薦めであるが、いずれにせよご飯にもお酒にもピッタリ の一品である。 

初夏には蕗やシソのじゅうたんが広がり、やがて秋になれば、山栗、クルミ、ギンナン、アケビ、 様々なキノコ類などが採れる。里山ではあまり見かけないが、ススタケ、葉ワサビ、行者ニンニクなども、富山を代表する山菜であろう。 

いずれにしても、富山湾の新鮮な魚介類とともに、富山は「山の幸」の宝庫でもある。四季折々に旬 の山菜を味わうことができる贅沢、これも富山の素晴らしい魅力なのである。

写真:山菜
豊富な山の幸

写真:こごみ

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