もったいない(MOTTAINAI)が世界を救う 2025年3月5日

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ページ番号1016705  更新日 2025年3月5日

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昨年の秋、SDGs未来都市である本市の国際連携事業である「JICA(ジャイカ)・コンポストプラント設置事業」が完成し、その竣工式に出席するためインドネシア共和国バリ州バドゥン県を訪れた。市内の民間企業が現地に設置した有機物堆肥(たいひ)化施設により、家庭や飲食店から出る有機系廃棄物(生ごみ)を現地の農業用堆肥として再利用する。

バリ島(人口約440万人)は、世界有数の観光地として大きく発展しており、年間約500万人もの観光客が訪れている。特に観光客が集中するバリ島南部のバドゥン県では、増大する大量の廃棄物処理が大きな問題になっている。加えて、生ごみを含む多くのごみが空き地や河川に投棄され、河川水や地下水・海洋の汚染を引き起こし、ハエや蚊の大量発生による住民への衛生面での悪影響が深刻化している。埋立地そのものも不足しており、管理の悪さによる水質汚染や害虫・悪臭の発生に加え、メタンガスの発生による自然発火や、温室効果ガスの増大による地球温暖化への懸念などが大きな社会問題になっている。

まさにこれらの社会問題(環境問題)の解決策となるのが本事業であり、完成式典には在デンパサール日本国総領事やJICA・インドネシア事務所長、バドゥン県知事代行をはじめ、多くの地元事業者や地域代表が出席され、その期待の大きさを肌で感じることができた。

一方、この事業を成功に導くためには、一般家庭や飲食店などから出る有機系廃棄物(生ごみ)を分別管理し安定的に収集することが必要となる。搬入目標は一日50トンで、達成には法令の整備等はもとより、住民や飲食店などの「捨てればごみ、使えば資源」という廃棄に対する意識改革と行動変容が必要であり、そのための小中学校を含む社会全体への環境教育が不可欠である。

また、日本人が古来大切にしてきた「もったいない」という精神を広め、定着させることも大切だと思うのだ。「もったいない」という言葉には、そのモノが持つ価値を十分に生かし切れていないことを惜しむという意味がある。そしてその実践である「もったいない(MOTTAINAI)運動」は、世界的環境保護活動家のワンガリ・マータイさん(ケニア)が、環境問題の解決のため世界に提唱し、自然の恵みに感謝し資源の浪費を抑制した循環型社会を創るための社会運動である。身近な実践例としては、節水や節電、3R(リデュース・リユース・リサイクル)、生ごみの排出抑制、室温調節など、職場や地域、家庭や個人的にも既に取り組んでいるものも多い。

今回のコンポストプラント設置企業の創始者が、常々「もったいない」という言葉を口にされていたそうである。その精神の普及伝承と私たち一人ひとりの行動変容こそが、日本や地球の大切な自然環境を未来へと繋ぐのだと思う。

※JICA=国際協力機構(日本の政府開発援助を一元的に行う実施機関)。

写真:コンポストプラントを視察する藤井市長
コンポストプラントを視察する藤井市長

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