「森と海」が永遠の恋人であるために 2023年6月5日

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ページ番号1012616  更新日 2023年6月5日

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国内外から富山市を訪れる多くの方々に「富山のお魚は新鮮で美味(おい)しいですね。」「立山連峰や緑豊かな山並みが素晴らしいですね。」「水が良いからお米と地酒が最高ですね。」などと富山の食や自然を褒めていただくことがしばしばある。富山市民としては誠に嬉(うれ)しい限りである。

そして、そんな時にはよく「森は海の恋人」というお話をさせていただく。ミネラルや栄養分をたっぷり含んだ豊かな海を育むには緑豊かな森林が必要であり、緑豊かな森林こそが豊かな海の幸を育んでいるというお話である。富山市は、標高3,000m級の立山連峰から水深1,000mの海の幸の宝庫・富山湾までを、直線距離50km余りで結ぶというダイナミックな地形を有しており、また市域の約7割が森林という豊富な森林資源に恵まれているのである。言うまでもなく、この様な類いまれなる地形と豊かな自然に恵まれた富山市は、誇るべき生物多様性の宝庫でもある。

さて、森と海が恋人同士ならば、その仲を取り持っているのが「水」であろう。富山県を「水の循環系」という視点で観ると、日本海で蒸発した大量の水蒸気が、雨や冬の降雪となり山地に降りそそぎ、 やがて河川へと流れ出し富山湾へ流れ込むということになる。また、途中で地下に浸透した伏流水は 扇状地の砂礫(されき)層でろ過され、水質が良好で水量が安定しているという特徴があり、私たちはこの「水」資源を利用して産業活動や日々の生活をより豊かなものにしてきたのである。

しかし、かけがえのない富山の宝物である「水の循環系」や「生物多様性」が、私たち人間の社会活動により歪(ゆが)められているのではないかと最近は危惧している。例えば、地球温暖化に起因すると思われる降雪量の減少は、産業活動や社会生活を送る上で必要な水資源量に影響する。県の森林の19%を占める人工林(約9割がスギ)の手入れ不足などにより、森林がもつ公益的な機能の低下が懸念されている。また、ペットボトルやトレイ、ビニール袋などを含む富山湾の「漂着ごみ」の約8割が、私たちの生活から出て河川を通じて富山湾へ流出していると言われており、それらが海洋生態系や人体に悪影響を及ぼす可能性があるマイクロプラスチックになっていること等々である。

これらの問題は一朝一夕には解決できないが、その解決に向けて私たち一人一人が自分事として捉えて行動することが大切である。例えばリサイクルの推進、地域清掃や美化活動への参加、温室効果ガス削減、森づくり活動、自然保護活動などである。

「森と海」が永遠の恋人であるために、そしてこの素晴らしい「富山の宝物」を未来へ引き継いで行くために、自分自身が出来る身近なことから始めてみようではないか。

写真:富山湾と立山連峰
富山湾から見る立山連峰

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