未来へ伝えたいものは何ですか? 2024年7月5日

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1015658  更新日 2024年7月5日

印刷大きな文字で印刷

立川(たてかわ)志(し)の輔(すけ)師匠の富山弁落語は、いつも腹がよじれるくらい笑える。志の輔師匠の経験、話術の巧みさと洗練された内容はもちろんのこと、高座で繰り広げられる伝統的話芸の落語とコテコテの富山弁とのミスマッチが実に滑稽(こっけい)なのである。他にも柳家(やなぎや)さん生(しょう)師匠や三遊亭(さんゆうてい)良楽(りょうらく)師匠、桂(かつら)米福(よねふく)師匠らの富山弁を織り交ぜた落語も実に面白く温かい気持ちになる。ご本人たちに確認したことはないが、富山弁は県外の人には理解不能なものが多く、たぶん富山弁落語は富山県人限定であると思う。いずれにしろ古典落語を究めた玄人(くろうと)たちが、あえて富山弁を織り交ぜた創作落語にこだわるのは、生まれ育った故郷(ふるさと)への愛情と薄れつつある方言を大切に伝えたいという気持ちの表れだろう。

さて、富山弁といえば枚挙に遑(いとま)がないが、「きときと(いきいき)」「まいどはや(こんにちは)」「うしなかす(紛失する)」「きのどくな(ありがとう)」「だいてやる(おごってやる)」「あんま(長男)」「おっちゃん・おっさん・おっじゃ(次男)」「だら(ばか)」「つかえん(かまわない)」「うい(つらい)」などが自分の中では代表的である。しゃべり言葉にすると、「よんべは あんまに だいてもらって きのどくだったちゃ。(昨夜はお兄さんにおごってもらってありがたかった)」などとなるが、今の子どもたちには理解不可能だろう。富山弁はイントネーションも含めて、呉東地域と呉西地域、富山・新川・高岡・砺波の各圏域、さらには旧市町村ごとにも地域特有のものがあり、時代と共に変化してゆくものだが、ぜひ未来へ伝えたい地域特有の宝物だと思う。

話は変わるが、自分が子どもの頃の卒業式の定番ソングであった「蛍の光」や「仰げば尊し」などは、時代背景などもあり今ではほとんど歌われていない。かつて文部省唱歌と言われた「ふるさと」や「もみじ」などは、今も音楽の教科書に載っており歌い継がれているのは嬉しい限りだが、「汽車」や「村の鍛冶屋(かじや)」などは歌われなくなったようである。確かに今は蒸気をあげる汽車は走っていないし、近所に必ず一軒はあった鍛冶屋も無くなった。時代の流れとは言え、日本人の心である唱歌は、いつまでも大切に歌い継がれてほしいと思うのである。

富山で生まれ育った自分としては、雄大な自然や美しい風景、豊かな海の幸・野の幸・山の幸、おいしい水や澄んだ空気、芸術や文化、お祭り、温かい地域の繋(つな)がり、住民自治の力、思いやりの心等々、未来へ伝えたいものがたくさんある。

さて、あなたにとって「未来に伝えたいもの」とは何であろうか?そんなことに心静かに思いを馳(は)せてみることも人生を豊かにする大切な時間だと思うのである。

写真:方言も未来へ伝えたいものだちゃ!
方言も未来へ伝えたいものだちゃ!
里ノ助とペロリッチ(©TOYAMACITY/DLE)

ご意見をお聞かせください。

このページに問題点はありましたか?(複数回答可)

このページに関するお問い合わせ

企画管理部 広報課
〒930-8510 富山市新桜町7番38号
電話番号:076-443-2012
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。